情報分析レポート No.14 2009年インドネシアの選挙 ユドヨノ再選の背景と第2期政権の展望 / 本名 純・川村 晃一編 アジア経済研究所 JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)
「2009年インドネシアの選挙」という本を読みました。
タイトルどおりで、去年のインドネシアの選挙について
かなり深く分析がなされている本になっていて、
一読すると、インドネシアの政治や政界の状況について
多角的に勉強することができました。
一口にインドネシアの選挙といっても、
有権者が 1億7000万人もいますから、規模だけで見ると
インドとアメリカに次いで巨大ということで、
「世界第3の民主大国」と称されているそうですw
もっとも、自由な選挙が始まってからまだまだ
歴史が浅いので、真の意味でインドネシアに民主主義が
根付いているかといえば、そうではなく、
あくまでも定着しつつあるといった段階のようです。
先日も、G20の参加国を調べていて
びっくりしたんですが、
「チャインドネシア(Chindonesia)」なんていって、
中国、インドと並んで語られることもあるそうですし、
世界経済の中で、インドネシアが存在感や発言力を増しているのは
間違いのない事実だと思います。
その点で、インドネシアの更なる経済成長には
政治の安定が絶対不可欠だと思うのですが、
2009年の民主的な大統領選挙を経て誕生し、
“ジャワ的な調和”で議会でも多数派を占めた第2期ユドヨノ政権は
安定的な政治を背景に、経済成長を成し遂げる
「黄金のチャンス」を迎えているようです!!
この第2期ユドヨノ政権の下、
インドネシアは貧困や失業、汚職問題などを克服し、
新興経済大国、かつ中進国へと移行しようとしているのです。
うまくいけば、2014年には
1億人近い中間層市場がまさに忽然と
東南アジアに出現するのです!
序章 インドネシアにとって2009年選挙とは何だったのか
第1章 国会議員選挙 --- 民主主義者党の勝利と業績投票の出現 ---
第2章 大統領選挙 --- ユドヨノ再選の権力政治と動員プロジェクト ---
第3章 過失か故意か --- 選挙運営の不備と混乱 ---
第4章 政党・候補者の「創造」 --- 民主化と選挙コンサルタント業 ---
第5章 2009年国会議員にみるインドネシアの政党政治家と政党の変化
第6章 イスラーム化の進行とイスラーム系政党弱体化の矛盾
第7章 第2期ユドヨノ政権の成立
第8章 第2期ユドヨノ政権の経済政策と課題
この本は、インドネシアの政治状況を相当深く掘り下げているので、
ユドヨノ大統領率いる民主主義者党の躍進の秘密や、
イスラム政党が軒並み苦戦した原因などがとてもよくわかりました。
もちろん、それらはインドネシア国民やインドネシア社会の
変容に伴って起こっていますので、
政治というよりも、やはり人間社会というものの勉強になりました。
直接、僕の商売には関係ありませんが、
支持世論の作り方とか選挙キャンペーンの仕方なども
かなり具体的に書かれていて、
これは家電の広告宣伝にも使えるな~などとも思え、
実際、ヒントになるなーとも思いました。
それと、小泉進次郎代議士とか、
日本の世襲じゃありませんが、
インドネシアでも政治エリートのファミリー(子供たち)が続々
国会議員に当選してきて、政党の要職に就き始めているみたいです。
民主的な選挙で、正当な手続きを経ての話ですが、
やっぱり、政治家一家の知名度やファミリーの集票基盤というのは
世界各国、ものを言うんですね(笑い)
逆説的ですが “民主政”と“世襲”って意外と親和性が高いのかもしれませんよ~
それから、年々、
世俗であるとか、イスラムであるとかの違いや
ジャワ島であるとか、外島(その他の島)であるとかの違いを
有権者(国民)は気にしなくなってきているそうです。
非常に大きくいえば
インドネシアが建国以来進めてきた、国民統合が
実を結び始めているような気もしますね。
分離独立運動や地方紛争は下火になって、
爆弾テロには共感は集まらずということで、
インドネシアは名実共にひとつになって
ものすごいパワーを発揮する寸前まできているような気がします。
どの国にもいえますが、
国民が一体となって、同じ夢を見るときは
奇跡が起きると思います。
日本の明治や戦後はそうでしたよね(^^)
あー、
それにしてもー
一昨日も「インドネシア再生への挑戦」で書きましたが、
JETROさんの本はとにかく密度が濃くって
内容がすばらしいです。
スキやムダがなく情報量の多い文章はもちろんのこと、
表、グラフなど各種データもギッシリ載っています!
僕の頭だととても1回では
覚え切れません・・・
せっかく、貴重な時間を割いて
読書しているんだから、
一回読んだら全部頭に入れたいところなんですが、
JETROの本は濃密過ぎて、入りきりません(泣く)
たぶん、もっと、
世界の経済や政治、文化などの
基礎的な知識を勉強していれば、
頭への入り具合が違うんだとは思いますが、
いかんせん勉強不足です・・・
もっと、勉強をしなければなりません!!
それから、インドネシアに関する
いろいろなジャンルの本を読めば読むほど、
やっぱり“国”や“社会”というのは、広く深いので
自分がインドネシアについて
これっぽっちも知らないということを痛感させられます。
行かないよりは行ったほうがいいし、
見ないよりは見てきたほうがいいに決まってますが、
なかなか、一つの国ですら深く理解するということは至難の業ですね。
一度や二度、現地に行ったぐらいじゃダメで、
その国(現場)に住み続けたり、行き続けないと、
そこで起こる出来事は真に理解はできないと思いました。
国や社会、各民族の文化というのはもの凄く奥が深いです。
だからこそ、勉強や体感が必要です。
PS
↑ ↑ ↑ ↑
さすがにみんな経歴や資格がすごいですね(°▽°;)
(僕が読んだインドネシアの本)
・ジャカルタ路地裏フィールドノート / 倉沢愛子
・アジア遊学 No.90 ジャカルタの今を読む / 勉誠出版
・アジアの大都市[2] ジャカルタ / 大阪市立大学経済研究所[監修]
・インドネシア 再生への挑戦 / 石田正美編 アジア経済研究所
・2009年インドネシアの選挙 / 本名 純・川村 晃一編 アジア経済研究所
(参考)
・じゃかるた新聞 インドネシア最新ニュース
・インドネシア文化宮 - インドネシア METRO TV(メトロテレビ)東京支局
・インドネシア語技能検定試験 - 日本インドネシア語検定協会
村内伸弘@ムラウチ ドットコム♣
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