アジアの大都市[3] クアラルンプール・シンガポール / 大阪市立大学経済研究所[監修] 日本評論社
以前、インドネシアに行く前に
「アジアの大都市[2] ジャカルタ」を読んでとてもよかったので、
この「アジアの大都市」シリーズのクアラルンプール(KL)版を買いました。
ジャカルタ版の時にも書きましたが、
2000年3月30日 第1版第1刷発行ですから、
もう12年も前の本ですので、
古いというのは否めません。
2000年以降のことは、
まったく載っていないわけですからね(笑い)
ただですね、
ただですよ、2000年までのことは
すんごくシッカリ載ってるんです。
学者さん達が書いてますから、
漏れなく載ってるというか、正確緻密に載ってるというか、
これ一冊読むだけで、
クアラルンプールという都市のことは
かなり理解できますね。
20年前、30年前の本だと、ちょっと難しいですが、
12年ぐらいだったら、その間どんなことがあったとか、
覚えてますし、何よりも、現地へ行って、
現地の今とこの本の記述を埋める空白の 12年間を
頭の中で考えることできますから、
なんら問題ないです。
2000年のクアラルンプールと、
2012年のクアラルンプールを
頭の中でつなぎ合わせる訳なんです ^^
ジャカルタ版でやりましたが、
見事につながりましたよ!
新しくても大したことが載ってない本よりかは、
ちょっぴり古くっても、
クアラルンプールのことが
しっかり体系的、歴史的に載っている本を読んだ方が
間違いなく有益だと思います。
すばらしい本であり、
すばらしい研究の成果です。
植民地都市として特異な発展を遂げたクアラルンプールとシンガポール。 いずれも多民族国家としての特徴を持つ。通貨危機後の経済運営の実態も含め、 その都市変容の姿を現場主義に徹して編んだ学際的研究。
目次 「アジアの大都市[3] クアラルンプール・シンガポール」
クアラルンプール編
総説 多核都市圏の形成 Ⅰ. 植民地化と都市形成 Ⅱ. 公共主導の地域開発 Ⅲ. 都市圏再編と中間層
第1部 都市経済の構造
第1章 マレーシアの都市化とクアラルンプール都市圏 Ⅰ. マレーシアの都市化過程 Ⅱ. クアラルンプール - 巨大頭脳の出現 第2章 クランバレーにおける工業開発戦略と外資系企業の進出 Ⅰ. クランバレーの工業構造とインフラストラクチュア整備 Ⅱ. 工業分散政策と外資系企業の誘致 Ⅲ. 工業地域の外延的拡大 Ⅳ. 外資系企業の進出 第3章 都市経済構造の変化と中間層の成長 Ⅰ. 都市圏の拡大と都市構造の変化 Ⅱ. 経済構成の特徴と都市開発 Ⅲ. 中間層の形成と郊外住宅地の成長
第2部 都市住宅問題
第4章 1990年代クアラルンプールのスクオッター問題と再定住政策 Ⅰ. メガシティ・クアラルンプールの都市景観の変貌とスクオッター・カンポン Ⅱ. 「スクオッター都市」クアラルンプール Ⅲ. カンポン・ハイラム Ⅳ. クアラルンプールにおけるスクオッター対策 Ⅴ. 「スクオッター都市」のゆくえ 第5章 クアラルンプルにおけるマレー人の居住の場とマレーシア社会 Ⅰ. マレー人の増大と居住の場 Ⅱ. 伝統的居住地と政府官舎 Ⅲ. スクオッター集落 Ⅳ. 独立後の計画的住宅開発地域・再開発地域
第3部 都市開発と政治
第6章 人口と産業・職業の構成 Ⅰ. 1970年代の人口移動と産業・職業構成 Ⅱ. 1980年代の人口移動と産業・職業構成 Ⅲ. 1990年代の人口移動と産業・職業構成 Ⅳ. センサス地区別の種族別住宅・職業構成 第7章 クアラルンプールの就業構造と社会の変容 Ⅰ. クアラルンプールの就業構造の変化 Ⅱ. 労働力不足と外国人労働力の導入 Ⅲ. クアラルンプール近郊のマレー村民の就業意識 Ⅳ. 新しい中間層の増大と「新しいマレー」 Ⅴ. マレーシアの若者達と都市文化 第8章 都市化と政治変動 Ⅰ. 1974年連邦領クアラルンプール(KL)創設の政治的意味 Ⅱ. KLの成立とスランゴール州議会への影響 Ⅲ. KL創設と下院選挙への影響 Ⅳ. 全国レベルで見た選挙区制度
※シンガポールへは今回行かないので、シンガポール編は割愛します
まず、この本で常に触れられているのが、人種なんですよね。
要はマレー系マレーシア人、中国系マレーシア人、
インド系マレーシア人という区別が、ほぼズッと
この本を支配している感じです。
我ら日本人はこの辺りの感覚が相当鈍いんですが、
人種というのは奥深いものだと改めて感じました。
具体的に言うと、マレーシアは、
各人種を混住させるシンガポールとはまったく逆に
集住政策や「ブミプトラ(土地の子)政策」と呼ばれる
マレー人優遇政策をとっているんですが、
その政策や政策の実施による様々な現象が
それこそクアラルンプールの都市の諸相に
色濃く反映していく様は読んでいて、驚きです。
マレーシアの経済成長とともに、
そして、この人種間の人口比率の変化とともに、
クアラルンプールという都市やそこに暮らす
人々の生活様式が変容していく様子がとても
よくわかりました。
あと、植民地時代のことなんで、
あんまり触れたくはないんですが、
第二次世界大戦前の植民地支配者であったイギリスが
自らの経済的利益の確保という統治目的を
達成するために民族別居住分離を
当時黙認していた理由はあまりにも冷徹で、
利己主義的で、植民地という制度の本質を知った感じです。
それにしても、
都市って生き物ですね!
経済、住宅、社会、政治、いろいろな側面から
クアラルンプールを見てみると、
この街の中で必死に生きている人々の姿が
浮かび上がってきますよ ^^
マレーシア楽しみです!!
マレーシア。
中国やシンガポール、インドネシアなどに較べて、
最近ちょっと元気がない感じですが、
約20年ぶりなんで、
まずはその首都の様子を体感してきます。
しっかりまとまった本を読むと、
気持ちが高ぶってきますねー
(僕が読んだマレーシアの本)
・地球の歩き方 マレーシア ブルネイ '11~'12
・アジアの大都市[3] クアラルンプル / シンガポール / 大阪市立大学経済研究所[監修]
・マハティール政権下のマレーシア / 鳥居 高編 アジア経済研究所
(参考)
・マレーシア 基本情報 概要|地球の歩き方
村内伸弘@ムラウチ ドットコム♣
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