ASEAN先進経済論序説―マレーシア先進国への道 三木敏夫
2005年2月、現代図書から第一刷が発行されていますが、
内容的には、1999年~2003年頃に著者の三木さんが発表した
論考に、2005年頃の最新データを元に
加筆、修正、削除を行った本になります。
一昨日のアジアの大都市[3]と同じで、
ちょっぴり古めですが、
やっぱり良い本でした!
三木さんは経済学者とのことですし、
マレーシア国民大学で客員教授をしていたこともあるそうで、
タイトル通り、マレーシア経済のことが
実に詳しく載っていました。
6章とか、7章あたりの金融の部分なんかは
どうにか理解しましたが、
“マレーシアの勉強”というよりも、明らかに
“経済学の授業”みたいな感じでした。
ASEAN先進経済論序説 ―マレーシア先進国への道―
第1章 ダイナミックな経済発展の軌跡 第2章 2020年 「先進国」入りの課題 第3章 ブミプトラ政策下の経済開発計画 第4章 ブミプトラ政策下の工業化 第5章 マレーシア型開発独裁国家 第6章 東アジア諸国の経済金融構造改革の現状 第7章 IMF救済融資とマレーシアの金融為替規制 第8章 日系進出企業の経営実態と問題点 補 章 社会進出するマレー人女性
この本も、ブミプトラ政策(マレー人優遇政策)の記述が
各章の随所にでてきていました。全編を貫くって感じです(笑)
どうも、マレーシアという国は、
“マレー人優先(=民族差別)”というシステムが、
この複合社会の隅々にまで行き渡っているみたいです。
本を読んだ限りではそんな感じを強く受けました。
マレーシアを語るには、
ブミプトラは外せないということなのです。
ひとつの政策というのは、必ず
裏表があるわけでして、
このブミプトラ政策も、
マレー人を貧困から救いつつあって
マレー系と中国系との経済格差を縮小させたという良い部分と、
その保護政策が特権化(既得権益化)して、
逆にマレー人を怠惰にしてしまったという
負の面が出てきてしまっているようです。
実際、マレー人の中には、
「常に政府が守ってくれる」という甘えが定着し、
政府からの援助をアテにする「ブミプトラ世代」が
形成されてしまっているそうです。
これは意外と根深くって、今後のマレーシアを
苦しめることになる由々しき問題だと僕は感じました。
また、マレーシアという国自体も、
中国の台頭によって
外資の直接投資の呼び込みが
どんどん不透明になっているようで、
2020年の先進国入りを目指し
新しい発展の形を模索せざるをえないようです。
それにしても、
人間の先入観というか、固定概念というか、
怖いですねー
僕もマレーシアって、
どうしても原油とか、ゴムとかパーム油とかの
一次産品の輸出国っていうイメージがあるんですが、
実際はもうだんぜん
工業品の割合が圧倒的に多いそうです。
すでに工業の国なわけで、
マレーシアは、すでに電子立国してるんですよ。
イメージは怖いです。
現地に行って、現実を見てこないと間違えます。
海外の人が、
日本人はまだ着物着て、ちょんまげ結って、
刀差してると思ってるのと同じですよ(爆笑)
まあ、いろいろな課題や問題はあるにせよ、
マレーシアは世界有数の親日国であり、
マレーシアほど日本企業や日本人を
気持ちよく受け入れてくれる国は
世界中であまり見かけないそうですので、
マレーシアにはぜひ頑張ってもらいたいと思います。
もちろん、僕もあわよくば、
このマレーシアという国の発展に
協力できれば嬉しいです☆
最後に、
先進国入りを目指すということがどういうことなのか、
その国の人々はどんな気持ちなのかを表している
ステキな文章がありましたので、ご覧ください。
↓↓↓↓↓
マレーシアの首都クアラルンプールを訪問した人は、 一様にクアラルンプールの美しさに驚く。 セパン空港から同市内に入ってくる途中、 暗闇の中に突然、おとぎの国の中に表れる王冠に似たツインタワーが、 マレーシア経済の発展を象徴するかのごとく現れる。 この光景をみるとマレーシアの人たちは、 もうすぐ先進国入りすると実感し、 暗闇に光るツインタワーをみるのが大好きだと言う。
(僕が読んだマレーシアの本)
・地球の歩き方 マレーシア ブルネイ '11~'12
・アジアの大都市[3] クアラルンプル / シンガポール / 大阪市立大学経済研究所[監修]
・ASEAN先進経済論序説 / 三木 敏夫
・マハティール政権下のマレーシア / 鳥居 高編 アジア経済研究所
(参考)
・マレーシア 基本情報 概要|地球の歩き方
村内伸弘@ムラウチ ドットコム♣
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