語るのはピザ自身

毎日.jpに「世界食彩記」という記事が載っていたのを
先日、たまたまネットを見ていて見つけたんですが、
何で言うんでしょう、すばらしい情熱だし、
イタリア人の心意気がすばらしいですね!
 
 

「おれは食材にこだわるから、 一度来た客の6割は常連になる。 来ざるを得ない。」

“来ざるを得ない” なんて表現、
実にすばらしいじゃないですか!!
言い放ったイタリア人は素敵ですし、
ライターの方の翻訳も秀逸だと思います ^^

「ピザが語り、ピザが客を呼ぶ」

これこそが、我ら中小企業の生きる道であり、
商売や人生の醍醐味じゃないでしょうか!

久しぶりに、すばらしい文章、すばらしい人生に出会いました。

あー、ピッツァ食べたくなってきた~
 
 

世界食彩記

ピッツァ イタリア・ローマ

◇「とやかく」語り出したら止まらない 情熱のサクサク感

食べ物のことをとやかく言うのはどうも、と思うが、ローマ人はこの「とやかく」が好きだ。 夕方、トラメッツィーノ(サンドイッチ)をカプチーノで食べていると、 イタリア語教師、ロベルトが「だめだめ。トラメッツィーノはビールか炭酸水。 それにカプチーノは甘いパンと一緒に朝飲まないと」と言う。 「塩味系の食べ物にはビール。甘いカプチーノだと甘辛が対立するでしょ。 それにミルク系は、活動前の朝じゃないと胃に重い」とうるさい。ま、「郷に入れば……」である。

イタリアといえばピザだ。ピッツァと言う。「理想は、一切れをワイングラスの縁に乗せると、 ズルッとピザがグラスに流れ込み、勢い余って飛び出すような感触」。 プログラマーのダニエレは寡黙な30代なのに、食べ物のことになると冗舌だ。

日本からローマを訪れた70代のイタリア研究者は「ピザは夜だけ。それと絶対に 手を使わない事。フォークとナイフって決まってるから」と教えてくれたが、 見てみると手で食べているローマ人も多い。みな思い込みが強いのだ。 私は子供のころのもんじゃ焼き以外、粉物に慣れていないためか、 常連になるほどの店はない。ローマの女性作家、シルビア・ピンジトーレが 言うように「ピザは空腹で死にそうなときにかぶりつく即席食」であり、 日本でいえば明け方にむさぼる牛丼のような存在と思っていた。

そんな話を理髪師のフランチェスコにすると「ピザといえば」と仕事を放り出し話しだす。 「何といっても『ラ・フチーナ』。まずは行ってみな。石臼でひいた半粒粉の生地の ビスコッティーノ(サクサク感)が歯に心地よくて。しっとりでもカサカサでもなくて。 店長の創作でタコやマスの卵をのっけてね……」。 隣で聞いていた客の男が「タコ? ピザにタコ?」と割り込む。 「そんなのピザじゃない。あんただまされちゃダメだよ。無知なやつほど語るんだ。 ピザはとにかく(伝統的なトマトとモッツァレラチーズ、バジルの)マルゲリータに始まり、 マルゲリータに終わるって言うぐらいでね……」と言いだし、 しまいには「お前はどこの出だ」とののしり合い、パーマをかけていた高齢の女性が 「ピザは家で作るんだ! 私は外で食べた事なんかないよ! 生地はねえ……」とさらにうるさい。

ローマ市南部、ポルトゥエンゼ街の「ラ・フチーナ」を訪ねると、 坊主頭の店長のエドアルド・パパ(51)が目をらんらんとさせて語りだした。

「おれは朝昼晩、ピザ。ずっとピザ食材へのパッシオネ(情熱)で生きてたから。 ローマはレベルが低いよ。1194店あってまともなのはほんの少し。 おれは食材にこだわるから、一度来た客の6割は常連になる。来ざるを得ない。 宣伝は一切なし。口コミだけ。味が落ちるから店も大きくしないの。 大事なのは窯にくべる木。カンパーニャ州のカシの木をおれが切ってくるんだ。 オリーブの木もいい。樹脂の香りが生地に移って、香ばしくなって……」と言ううちにマルゲリータが出てきた。

確かに生地のサクサク感が歯に心地よく、トマトとモッツァレラが溶け合い、 のどごしも重くない。「完ぺきでしょ。ローマの連中はいろいろうるさいけど、 語るのはピザ自身なんだ。だからおれも語らないの。ピザが語りピザが客を呼ぶ。 どう、トマトの感触。有機栽培の小さな農家で……」とやはりうるさい。

(毎日新聞 2010年9月27日 東京夕刊より引用)

 
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村内伸弘@ムラウチ ドットコム

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