記事コンテンツ画像

子宮に眠る怪物 (小鹿姫) 文芸社

子宮に眠る怪物 (小鹿姫) 文芸社



ある社員さんから、1990年代を描いた
新無頼派少女小説の本をもらいました。


青春デンデケデケデケ」のような60年代の青春に
憧れていた僕、そしてその自分自身が青春時代を過ごした
80年代よりも後のことになる 90年代には
特に興味もなかったのですが、
この「子宮に眠る怪物」を読んでみて、
いつの時代にも青春があるし、
いつの時代にも傷つき、もがき苦しみ、
その中で流されるように生きていく人間たちがいることを
改めて思い知らされました。


中学でいじめられて高熱を出し、
やさしく母に看病をされたヒメ。

高校に入り、
先輩の男性との初デート、
恋愛や友情にあふれる華やかな学園生活を
過ごすかにみえたヒメ。

ところが・・・


90年代の青春は、60年代ほど
純粋ではありませんでした。

でも僕は、高校入学後、
その繊細さゆえに、身もだえし、胸かきむしり
自らを傷つけていくヒメ、転落していくヒメに
60年代の若者以上の純粋さを感じました。

人間としての弱さ、
人間としてのもろさ。

鏡張りの天井の下で、
色とりどりのカラーボールの下で、
そしてペンキの剥げかけた公園のベンチの上で
ヒメが男友達や女友達と共に輝いた瞬間は
まさに90年代の青春と呼べるんだと僕は思います。

ひび割れたビー玉のような主人公・桃井ヒメが、
---お母さん。と呼びかける場面で僕は
あの中原中也の「盲目の秋」と同じナイーブさを感じました。
永遠の14歳・小鹿姫さんは小説を書く平成の中也なのかもしれません。


 >皮肉なくらい、綺麗な、綺麗な、
 >お父さんとお母さん。

ヒメのこころは壊れてはいませんでした。
いつの時代も、どの国でも
親たちがソッと見守る中で、
お日様がやさしく見守る中で、青春は過ぎ行くものなのです。

「子宮に眠る怪物(小鹿姫著)」
あなたもぜひ一度読んでみてください。

永遠の17歳・村内伸弘@ムラウチ ドットコム

「書評、レビュー」 …ブログコミュニティを見てみる

「オススメ本」 …ブログコミュニティを見てみる

「書物、書籍、本」 …ブログコミュニティを見てみる

「今日の読書日記」 …ブログコミュニティを見てみる

「本が好き。」 …ブログコミュニティを見てみる

「読書感想文」 …ブログコミュニティを見てみる

▼世の中いろんな人がいる \(^O^)/ ブログ検索サイト 書評・レビューブログ村 を見る

書評・レビューブログランキング


きょうのキーワード:文学センス - 無頼派 - 永遠の17歳

「社長ブログ」 バックナンバーを見る

この記事をシェア